エルの存在

18歳までエルは生きた。犬で18歳といったら長寿の方ではないかと思っている。私が小学生の時に飼った犬が、私が27歳で嫁ぐことが決まるまでを見守ってくれた。
学校で何か嫌なことや辛いことがあればエルに泣きながら話しかけた。就活がうまく行かないときも話しかけた。話しかけながら自分の頭の中を整理することができた。ある意味お悩み相談者であった。状況を察してくれるのか、なめたり穏やかな眼で様子をうかがったりしてくれた。エルは家族で妹であり、姉であり、親友であり、おばあちゃんだった。
母が突然亡くなってしまってからは、日中相手をする人もいなくて、寂しい思いをさせてしまったのではないかと今でも申し訳ない気持ちがあるが、母から私が嫁ぐまでは傍にいてやれと言われたのではないかと思っている。その使命をしっかり果たし、母の元へ行ったのだと。
遠方に嫁ぐことが決まって嫁ぎ先を見に行く日の1週間前くらいからエルの食欲がいっきに落ちた。夜中の徘徊や、寝ている時に痙攣をおこしたり、痴呆症状なのか頭を突っ込んでしまい出られなくなったり、目も見えないので歩くのも困難な状況だった。もう長くないと感じた。嫁ぎ先へ行く前日もう歩けなくなったエルをタオルでつつみ抱え、散歩コースや初デビューした公園につれていった。芝生の上におろすと歩けないがうつ伏せの状態で匂いを嗅いでいた。震えるエルに話しかけながら一緒にできる最後のお散歩をした。
翌日昼間に嫁ぎ先で受けた兄からの電話でエルが息を引き取ったことを知った。寝ているかと思えるように安らかに息をひきとっていたようだ。ヘルニアを持っていて、晩年はダックスフンド ヘルニア保険にも大分お世話になっていた。
最期を看取るという方法もあったが、18年間一緒に暮らして、ここまで見守ってくれたエルに感謝の気持ちを持ちながら家を出てきた。エルの遺骨は自宅の花壇に埋葬された。今ではオレンジ色の花が元気に咲いているとのこと。秋で落ち葉に紛れるオレンジのような茶色のようなエルを思い出す。
母やエルに報告できるような幸せな家庭を築きたい。そしていつの日かまた犬を飼いたいと思っている。

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